冬は空気が乾燥しやすく、その結果、口の中も乾きやすくなります。
この状態はドライマウス(口腔乾燥症)と呼ばれ、口の中が粘り気を帯びたり、食物の飲み込みが困難になるなどの症状を引き起こします。
また、滑舌が悪くなったり、舌や口内の粘膜が痛むこともあります。
ドライマウスは唾液の分泌を減少させるため、これが細菌の繁殖を促し、虫歯や歯周病、強い口臭のリスクを増加させます。
特に高齢者にとっては、乾燥によって口内の細菌が増加し、食べ物が飲み込みづらくなるため、誤嚥性肺炎のリスクを高めることが懸念されます。
加えて、冬の寒さは体の免疫力を低下させ、口内炎が生じやすくなります。
お口の乾燥を予防する方法
ドライマウスの一因として、口呼吸の習慣があります。
人は本来、鼻で呼吸することで、吸い込んだ空気を加湿し、鼻毛や鼻粘膜が空気中のウイルスや不純物を取り除くようにできています。
口で呼吸すると、これらの防御機能が働かず、冷たい外気が喉粘膜に直接触れるため、病気にかかりやすくなります。
口の周りの筋肉を鍛える
普段から口が開いていることに気づいたら、意識して口を閉じ、鼻呼吸を心がけましょう。
就寝中に口呼吸になりがちな方は、就寝時に口にテープを貼る方法もあります。
また、「あいうべ体操」という口周りの筋力を鍛える運動も効果的です。
この体操は、口を大きく開けて「あー」「いー」「うー」と発声し、最後に「べー」と言いながら舌を出す動作です。音を出さずに行っても構いません。
一日に30セットを目安に繰り返すことで、口周りの筋力が向上し、口を閉じやすくなります。
よく噛んで食べる
唾液の分泌を促進するためには、よく噛むことが重要です。
生野菜やナッツ類など、かみ応えのある食品を日常の食事に取り入れることがお勧めです。
例えば、リンゴやニンジン、ナッツ類は良い選択肢です。
また、おやつとしてガムやスルメを摂るのも有効です。
レモンや梅干し、お酢などの酸っぱいものも唾液の分泌を促進しますが、酸性の食品は歯のエナメル質を溶かす可能性があります。だ液が十分に分泌されれば酸が中和されるので、食後すぐの歯磨きは避け、30分ほど間を空けることが望ましいです。
ストレスを溜めない
また、ストレスの蓄積も唾液の分泌を減少させる要因です。
ストレスを溜めないためには、規則正しい生活、リラックスできる時間の確保、そして適度な運動が重要です。
さらに、喫煙やアルコール、カフェインの過剰摂取は避けるべきです。これらは血流を悪化させ、全身の健康に悪影響を及ぼします。
冬の乾燥した気候は、お口の健康にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
しかし、上記のような日常生活での注意点や予防策を実践することで、ドライマウスをはじめとするこれらの問題を効果的に軽減し、虫歯や歯周病のリスクを低減することが可能です。
毎日の生活習慣を見直し、お口の健康を維持することが、全体的な健康維持にも繋がります。