虫歯が悪化して神経まで達すると、歯科医に「神経を取りましょう」と言われることがあります。
この時に行われる、神経を取るための治療を「根管治療」といいます。
今回はQ&A形式で、根管治療について分かりやすくお伝えします。
Q. 根管とはなんですか?
根管というのは、歯の根っこの部分(歯根)にある、細い空洞のことです。
この空洞の直径はシャープペンシルの芯よりも細く、0.5mm以下しかありません。
それが歯の中で曲がったり枝分かれするなど、複雑な形状をしています。
この、細く複雑な形状のトンネルの中に歯の神経が通っています。
Q. 歯の神経とはどのようなものですか?
歯の神経は「歯髄」と呼ばれ、神経の他に無数の毛細血管が集まってできています。
毛細血管を通して歯に栄養を運んだり、歯に伝わる刺激を感じることができます。

Q. 根管治療とは何ですか?
根管治療は、深い虫歯で感染した歯髄を取り除き、根管を清掃および消毒する治療です。
ファイルと呼ばれる細い針のような器具を使って歯髄を取り除きます。
次に、歯髄がなくなった後の空洞に薬を詰めて仮蓋をします。
根管は複雑に入り組んでいるため、この作業を何回かくり返して治療は完了します。
最終的に治療が完了したら、根管治療を行った歯にかぶせ物などをして塞ぎます。
Q. 根管治療を途中で止めるとどうなるの?
根管治療は、細菌に冒された歯髄を取り除く治療です。
歯の神経が死んでいる場合、根管治療を途中で止めても痛みを感じることはありません。
しかし、治療を途中で止めるということは、歯の中に感染した組織が残っているということです。
これを放置すると膿ができ、やがて歯を支える骨に感染が広がります。
そうなると激痛が生じ、歯を抜かなければいけなくなってしまいます。
Q. 根管治療は痛いの?
根管治療は神経を直接扱う治療法ですので、治療後に痛みが出る場合があります。
原因としては、治療の際に神経に触れることや、膿が出ることで体の免疫反応が活発化することなどが挙げられます。
この痛みには個人差があり、痛みが出ない方もいれば、1週間ほど痛みが続く方もいます。
通常、2〜3日ほどでこの痛みは治まります。
痛みが出たときには、鎮痛剤を飲んで様子をみます。
Q. 根管治療の治療期間は?
根管治療の治療期間は、早ければ2〜3回で終わる場合もありますが、長い場合は数ヶ月かかることもあります。
これは根管の数や複雑さ、根管の中の状態によって異なります。
Q. 根管治療の費用は?
根管治療には保険が適用されるので、保険治療の場合は全国どこの歯科医院でも費用が変わりません。
実際の費用は根の数や感染具合、治療の回数により異なってきます。
ちなみに、諸外国では根管治療に保険が適用されず、神経まで到達するような虫歯は抜歯することになります。
日本では、根管治療に保険が適用されるので、少しでも長く自分の歯を保たせることができます。
Q. 根管治療の後に注意するべきことはありますか?
神経を取った歯は、健康な歯よりも寿命が短くなります。
これは、神経と一緒に毛細血管もなくなるため、歯に栄養が行き渡らなくなるためです。
また、神経を取った歯に虫歯が再発しても痛みを感じないので、気づかずに進行してしまうことがあります。
また、歯根に細菌が残っていると再発することがあります。
そのため、根管治療をした後は経過観察が重要になります。