がんは、全身どこにでもできる可能性があります。
そのうち口の中にできるがんを「口腔がん」といい、がん全体の2〜4%を占めています。
この口腔がんというのは、舌にできる「舌がん」や歯肉にできる「歯肉がん」、頬粘膜にできる「頬粘膜がん」、その他「硬口蓋がん」「口底がん」など、口内のさまざまな部位にできるがんの総称です。
そのなかでも特に多いのが舌がんで、口腔がん全体の約半数を占めています。
半年ほど前、某有名タレントの方がご自身のブログで舌がんのステージ4であることを公表・手術されたことが話題になったため、この病気についてご存じの方も多いでしょう。
口腔がんの増加
国立がん研究センター・がん情報サービスが公表しているデータによると、生涯でがんに罹患する確率は、男性で62%(2人に1人強)、女性で47%(2人に1人)となっています。また、がんによって死亡する確率は、男性25%(4人に1人)、女性16%(6人に1人)です。
口腔がんの罹患者数は30年前と比較して約4倍以上の増加となっており、今後もさらに増加していくとみられています。
以前は50〜60代の男性に多く発症していたため、不摂生な生活習慣や、タバコ・飲酒が病因と言われていました。
しかし、近年は女性や若年層での発症が増えてきています。
この数十年で禁煙・分煙の流れが進み、社会全体の喫煙者数が右肩下がりになっているにも関わらず罹患者数が増加していることから、タバコやアルコールを嗜まない方も注意が必要です。
口腔がんは、早期のうちに発見・治療を行えれば5年生存率90%と良好な結果ですが、進行がん(粘膜の内側まで進行したがん)になった場合、これが50%まで低下してしまいます。また治療を行っても、大きな機能障害が残る場合もあるため、なにより早期発見・治療が大切になります。
口腔がんのセルフチェック
口の中はご自身でも見ることができるためセルフチェックが可能ですが、認知度の低さから発見が遅れてしまう場合があります。
以下のような気になる点がある方は、ぜひお口のなかをチェックしてみてください。
- 口の中に硬いしこりや出血しやすい場所がある。
- 2〜3週間治らない口内炎がある。
- 口内が唇がしびれたり、食事中に舌や歯ぐきがしみることがある。
- 舌や歯ぐきが赤や白に変色している。
一般の方は、自分のお口のなかをじっくり見るという機会はあまり多くないと思います。
口の中には、もともと舌の側面や奥側にぶつぶつとした出っ張り(有郭乳頭という正常組織)があり、これらを「病気なのでは?」と思ってしまうこともあります。
また、口内炎や扁桃炎、手足口病(これも近年急増していると報道されています)などでも口の中の様子は変化します。
気になる部分がある方は、歯の定期健診も兼ねて、早めに歯科医に相談するとよいでしょう。
口腔がんの疑いがある場合は、専門の医療機関をご紹介いたします。