12月に入り、急に寒くなりましたね。体調を崩さないように皆様くれぐれもお気をつけください。
今回は、インフルエンザと口腔ケアの関係についてお伝えします。
インフルエンザについて
皆さんよくご存じのことと思いますが、インフルエンザは気温が下がり空気が乾燥する冬の時期に流行し、特に1月〜2月にピークを迎えます。
発症すると高熱が出て、重症化すると命に関わる場合もあるため、子供やお年寄り、身体の免疫が弱っている方などには特に注意が必要です。
インフルエンザの感染経路は、飛沫感染(くしゃみなど)と接触感染(ドアノブなど)です。
予防法としては、①正しい手洗い(接触感染を防ぐ) ②予防接種 ③身体の免疫力を高める ということが言われています。
最近は「マスクではインフルエンザの予防はできない」とも言われていますが、咳やくしゃみの飛沫を抑えるため、感染の拡大を防ぐ働きがあります。
また、マスクにはノド粘膜を保護する効果も期待でき、公衆で咳をする際の「咳エチケット」にもなるため、着用するメリットもあると思います。
口腔ケアでインフルエンザに感染しにくくなる
インフルエンザと口腔ケアの関係について、過去に調査された事例をご紹介します。
①奈良県歯科医師会の調査によると、あるデイケアの介護施設において、歯科医衛生士が在宅高齢者に正しいブラッシングや舌みがきの指導を行ったところ、通常の歯磨きをしていた施設に比べてインフルエンザ発症率が10分の1に激減した。
②2009〜2010年のインフルエンザ流行時期に、杉並区の2つの小学校をモデル校として歯磨き指導を徹底したところ、新型インフルエンザでの学級閉鎖率が平均45%だった。区内の他の小学校(41校)の平均79.6%と比べて、大幅に少ない結果となった。
①のケースは「10分の1に激減」という衝撃的な結果になっていますが、サンプル数が少ないため、大規模な調査が待たれるところです。
いずれにせよ、どちらの調査でもかなり有意義な結果が現れています。
お口の細菌がインフルエンザの手助けをする?
お口の中のケアを怠っていると細菌が増殖します。
それらの細菌の中には、プロテアーゼやノイラミニダーゼと呼ばれる酵素を分泌するものがあります。
プロテアーゼはタンパク室分解酵素、ノイラミニダーゼは「インフルエンザウィルスが体内で増殖するときに使う」酵素です。
(ちなみに、リレンザやタミフルなどの抗インフルエンザ薬は、ノイラミニダーゼ酵素の働きを阻害する働きがあります)
そのため、お口の中の細菌が増えた状態では、インフルエンザにかかりやすくなり、また抗インフルエンザ薬の効き目を悪くしてしまうことがあるのです。
歯科医で定期検診を行うと、普段のブラッシングがしっかりできているかどうかも確認できます。
また、手磨きでは落とせない歯石の除去や、プラーク(細菌の塊)を落とすPMTCなどの施術も行えますので、ぜひお気軽にご相談ください。