令和2年5月1日、日本歯科医師会から「国民の皆さまへ(新型コロナウイルス感染症について)」というメッセージが発信され、読売新聞・毎日新聞をはじめ全国の地方新聞に掲載されました。
メッセージの全文は、こちらをご覧ください。
メッセージの要約
- 治療の緊急性については、痛みや腫れなどを放置すると重症化や全身へ影響を及ぼすことがあります。
- 歯周病などの定期管理も全身状態に関係し、口腔衛生状態の低下で誤嚥性肺炎が生じることが懸念されます。
- 義歯を装着せず、噛めない状況が続くことは、全身の健康を損ないます。
- 緊急性は患者さんの状態によりさまざまですので、かかりつけ医にご相談ください。
- 口内を清潔にし細菌を減らすことが、誤嚥性肺炎・ウイルス性疾患の予防につながります。
- 感染リスクが高いとされる歯科医療現場ですが、これまで歯科治療を通じて患者さんの感染の報告はありません。
- さらに感染予防策を徹底し、国民の皆様の健康を守るために取り組んでいきます。
このメッセージでも触れられているように、歯科医は感染リスクが高いとされていますが、これまで歯科治療を通じて患者さんの感染の報告はありません。
これは、以前から歯科の間で「スタンダード・プリコーション(標準予防策)」という考え方が共有され、実行されてきたことも大きな要因のひとつと考えられます。
スタンダード・プリコーションとは
このスタンダード・プリコーションというのは、1996年にアメリカ疾病管理予防センター(CDC)によって提唱された感染予防策のことです。
歯科医師や歯科衛生士は、日常的に患者さんのお口の中に触れるため、未知の病気に対する感染リスク(自分が感染する、もしくは感染を媒介してしまう)を常に抱えています。
このスタンダード・プリコーションでは「誰がどんな病気に感染しているか分からない」という想定のもと、治療器具の滅菌や手袋・マスクを使った治療者の防護、治療環境の消毒などを行います。
今回の新型コロナウイルス感染症への対策では、まさにこの考え方が広く共有され、徹底されています。
次亜塩素酸水による消毒
新型コロナウイルスの影響で、店頭から消毒用アルコールが品切れになった際、次亜塩素酸ナトリウムに注目が集まりました。
この次亜塩素酸ナトリウムというのは、いわゆるハイターなどの塩素系漂白剤のことです。
消毒用エタノールの代わりに「ハイターを水で薄めれば消毒に使える」という話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
たしかに、ドアノブなどを消毒するには水で薄めたハイター(0.05%濃度)も有効ですが、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性で、手指の消毒には使えません。また、いったん水溶液にすると徐々に消毒力が低下してしまうので、早めに使い切ることも必要です。
この「次亜塩素酸ナトリウム」と混同されやすい消毒液に「次亜塩素酸水」というものがあります。
この二つの物質は、名前は似ていてもまったく違った性質があります。
まず次亜塩素酸ナトリウムですが、これは塩素系漂白剤で、強烈な刺激臭がします。
塩素系漂白剤のパッケージに「混ぜるな危険」と書かれているのは、酸と混ざることで有毒ガスを発生するためです。
アルカリ性で、たんぱく質を腐食する性質があるため、直接皮膚に触れないようにしなければいけません。
一方、次亜塩素酸水というのは、食塩水を電気分解して生成します。
厚生労働省から食品添加物の一種としても指定されており、飲んでも皮膚に触れても安全な物質です。
中性から弱酸性で、基本的に匂いはありませんが、除菌力が強く、高い消臭効果もあわせ持っています。
匂いがなく、皮膚への刺激も少ないので、「殺菌効果が弱いんじゃないの?」と感じてしまうかも知れませんが、そんなことはありません。
最新のニュースによると、北海道大学とエナジック社の研究で「次亜塩素酸水で新型コロナウイルスが30秒以下で不活性化された」ということです。(5月15日琉球タイムス)
この記事によると、『次亜塩素酸水は新型コロナをほぼ瞬時に不活性化している』ということです。
当医院では、この次亜塩素酸水を院内のすべてに毎日噴霧して、消毒を徹底しています。
また、ノドの殺菌に使える次亜塩素酸のうがい薬「ペリオトリート」も1本 2,500円で頒布していますので、必要な方は当院スタッフまでお問い合わせください。