歯が抜けた場合、新たに人工的な歯を作って欠けた部分を補うことになります。
その際、新しく作った歯を何らかの方法で口のなかに固定する必要があります。
失った歯の本数が少なく、ご自身の健康な歯がまだ残っている場合、新しい歯を固定するために「ブリッジ」や「部分入れ歯」という方法が採られます。
ブリッジ・部分入れ歯とも、健全なご自身の歯を利用して、新しく作った歯を固定する点が共通しています。
ブリッジの特徴
ブリッジは、失った歯の両隣に残っている歯を土台にして、橋渡し(ブリッジ)させるような形で新たな歯を作る手法です。
ブリッジをかぶせるために、土台になる歯を削る必要があります。
お口のなかの状況にもよりますが、欠損した歯が1〜4本程度の場合までが、ブリッジを使用できる目安となります。
最小のブリッジの構成は3連(欠損した歯1本+土台の歯2本)で、おおむね6連程度までがブリッジが作れる目安となります。かなり特殊な例で、条件が揃わないと難しいですが、14連(上の歯、または下の歯すべて)をブリッジにした事例もあります。
ちなみに、6連のブリッジの場合、欠損した歯4本まで対応できますが、欠損歯が1本だけでも4連〜6連のブリッジが適用されるケースがあります。これは、お口のなかの状態によって、できるだけ土台の歯にかかる負担を減らしたい場合に取られる処置となります。
部分入れ歯の特徴
部分入れ歯は、義歯に固定用の金属のバネがついており、このバネを健康な歯に引っかけることで固定させます。
ブリッジで対応可能な歯の本数より多くの歯が欠損した場合でも、部分入れ歯で補うことができます。
ブリッジと入れ歯の違いですが、ブリッジの場合はむし歯のかぶせ物と同じで取り外すことができませんが、入れ歯はご自身で取り外すことができる点が違っています。
ブリッジ・入れ歯とも、よく知られた治療法ですが、実はあまり知られていないデメリットもいくつか存在します。
今回は、そんなブリッジや入れ歯のメリット・デメリットを見ていきたいと思います。
メリット
ブリッジのメリットとして、固定式なので違和感が少ないという点が挙げられます。
また、ブリッジの治療には保険が適用されるため、比較的安価で短期間に治療を行うことができるというメリットもあります。
選ぶ素材によっては保険適用外になりますが、より天然の歯に近い質感・色調の人工歯を使った審美的な治療も可能です。
部分入れ歯のメリットは、先に触れたとおり、ブリッジで対応できないような多くの歯が欠損した場合にも対応できることです。
また、ブリッジは両隣の健全な歯を削って治療しますが、入れ歯の場合は土台となる歯を削らずに治療することができます。
部分入れ歯の場合も、保険の範囲内で、比較的安価かつ短期間に治療を行うことが可能です。
また、保険適用外になりますが、金属バネを目立たないようにしたい、よりフィット感を高めたいなどのご希望にも対応可能です。
デメリット
ブリッジ・部分入れ歯とも、欠損した歯の両隣にある健全な歯を使って固定するため、固定される側の歯には大きな負担がかかるというデメリットがあります。
ブリッジ特有のデメリットとして、橋渡しされた人口歯の部分は歯ぐきから浮いているため、歯ぐきが痩せてくるなどの原因ですき間が大きくなると、そこにプラークがたまりやすくなり、それが新たな歯周病やむし歯の原因になってしまうことがあります。
ブリッジは両隣の歯を削って土台にしますが、この土台の歯の周囲にプラークがたまることでむし歯のリスクが増え、さらにそこに大きな負担がかかると折れてしまう場合があります。
土台の歯が折れた場合、さらに隣の歯を土台にすることになりますが、支える歯が一本多くなるため、土台の歯が折れるリスクもより高くなります。
このようにして、ブリッジがどんどん大きくなるという方も、なかにはいらっしゃいます。
入れ歯のデメリットとしては、ブリッジより固定する力が弱いため、健康な歯に比べて噛む力が大きく落ちてしまうことが挙げられます。
入れ歯は簡単に取り外しができるため、手入れ自体は行いやすいのですが、金属バネなどの形状が複雑で、装着したままだとプラークがたまりやすいため、手入れを怠るとやはり虫倍や歯周病になりやすくなるリスクがあります。
治療完了後のケアも大切です
これまで見てきたように、ブリッジ・入れ歯とも、いったん治療が完了したからといって安心して手入れを怠ってしまうと、思いもかけない次のリスクを誘発してしまうことがあります。
歯が欠けた部分というのは、もともと磨き残しが多かったりするなどセルフケアが行いにくい部分でもあるため、治療後も継続して注意することが大切です。
今回は、ブリッジ・入れ歯のデメリットのお話をしましたが、いずれも施術後の正しいケアを行えば健康的な状態を長持ちさせることができる安全な手法です。
ブリッジや入れ歯の行った方も、治療が完了したからといって放置してしまうことがないように、ぜひ定期的なデンタルチェックを心がけてください。