今月のポイント
- 歯が白くてきれいだと若々しく見え、人からもよい印象を持たれます。
- ベースとなる歯ぐきは、歯周病ケアでしっかり整えます。
- 歯石は黄色や黒色に変色して見た目が悪くなるので、定期的に除去します。
- 職人の手磨き(PMTC)でくすみを取ってツヤツヤに。歯ぐきの血行もよくします。
- もっと白くしたい方は、ホームホワイトニングで自然の白さを取りもどします。
ふだん何気なくテレビなどを見ていると、職業柄、つい出演者の歯に注目してしまいます。
賞レースで突然人気が出た芸人さんなどは、画面越しでも「歯が汚れているなぁ」と分かってしまう方もいます。
そんな方でも、人気が定着してずっとメディアに出続けるようになると、いつの間にかきれいな白い歯になっていることが多いように感じます。
芸能人はつねに人前に出るお仕事なので、他人から見られたときの印象を考えて、ホワイトニングなどを施されているのでしょう。
これは特殊な例ですが、一般の方でも歯を若々しく保つように気を付けることで、結果的に歯と歯ぐきの健康を守ることにつなげることができます。
今回は「歯と歯ぐきのアンチエイジング」というテーマで、歯科医がお勧めする、一般の方にもできる口腔ケアの方法についてお伝えします。
まずは土台をしっかり
お顔のメイクをするときに「肌の状態が悪いと化粧の乗りが悪い」と言われるように、若々しい口元を保つためには、まずベースとなる歯ぐきの状態が大切になります。
歯ぐきが後退すると、歯の根が露出することで相対的に歯が長く見え、老けた印象になってしまいます。
歯ぐきが後退する主な原因は歯周病で、厚生労働省の平成28年度の調査によると、30代の3人に1人、40代後半以降の半数以上が罹患しています。
歯周病はサイレント・ディジーズ(静かな病気)と言われ、本人が気づかないうちに何年もかけて歯を支える骨を溶かし、自覚症状が出る頃には次々と歯が抜けてしまう病気です。
逆に、少しでも早く対策を始めることで、その分進行を遅らせることができるとも言えるでしょう。
ですから歯のアンチエイジングとしては、まず普段から歯周病のケアを行うようにします。
ザラザラした歯を整える
審美歯科と呼ばれる分野では、何よりも見た目を優先するので、その目的のために歯を削って治療することもあります。
治療後すぐに結果が出ますが、歯を削ると弱くなったり虫歯になりやすくなるため、長い目で見るとデメリットの方が大きいと思います。
当院では、どなたにも備わっている歯の元々の白さを活かす治療方法をお勧めします。
まず、カリエス(虫歯)のある部分は、虫歯の治療を優先します。
磨き残しのプラーク(歯垢)があると数週間で歯石化し、黄色や黒色に変色して、見た目も悪くなります。
歯石は歯ブラシでは落とせませんので、歯科医院で定期的に歯石の除去を行うようにします。
歯石除去をすると、舌で触ったときに歯の表面がツルツルするので、だいぶリフレッシュした感じになると思います。
この「ツルツルした感じ」というのがポイントで、歯の表面にあるガサガサした極小の歯石を取り除くことで、施術後にプラークがつきにくくなる効果があります。
ここまでの項目は、3〜6ヵ月に1回程度の定期健診と併せて、すべての方にお勧めする内容です。
くすみを取って血行をよくする
さらにもう一歩進んでお勧めしたいのが、PMTCという手法です。
PMTCというのは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、歯科医院で行うプロフェッショナル・クリーニングのことです。
柔らかな器具を使って、歯の表面がツヤツヤになるようにポリッシュします。
自動車で例えると、ガソリンスタンドにある「職人の手磨き洗車」のようなものでしょうか。
歯の表面にはコーヒーやお茶・タバコなどの色素(ステイン)が沈着していますが、PMTCによってこのステインを除去します。
同時に歯ぐきのマッサージも行うので、歯ぐきの血行が良くなります。
痛みはほとんどなく、気持ちよくて途中で寝てしまう方もいらっしゃるくらいです。
気持ちよいだけでなく、歯周病や口臭の予防にも効果がある方法です。
歯に自然な白さを取りもどす
「もっと白くしたい」というご希望のある方には、ホームホワイトニングを行います。
これは、まずその人の歯型に合ったマウスピースを製作し、2週間分のジェルと一緒にご自宅でお使いいただくことで、歯を白くする方法です。
2週間継続してお使いただくと、ほとんどの方は「歯が白くなった」と実感していただけると思います。
注意点として、歯の色は人によって違うので、元々の歯の色によっては効果にも差があるということです。
また、ホワイトニングを行った後も、「後戻り」といって時間の経過とともに戻ってしまうことがあります。
歯科医が薦める歯のアンチエイジングは、歯と歯ぐきを健康にしながら、本来の白さを取りもどす方法です。
自分の歯はこの先何十年も使うものです。少しでも長く自歯が残せるように、ご自身で行うセルフケアに加えて、歯科医院での定期的な健診をお勧めいたします。