今月は、動物たちが持つユニークな歯の特徴をご紹介します。
そして、それらを人間の歯と比較してみたいと思います。
鮫の歯は一生に何度も生え替わる
鮫の鋭い歯は、見るからに恐ろしいですね。
これらの鋭利な歯は、鮫にとって獲物を捕らえるために不可欠です。
多くの方がご存じかもしれませんが、鮫の歯は一生涯にわたって何度も生え替わることができます。
ホオジロザメのような種では、歯の本数が約300本にもなることがあります。
これに対し、成人の人間の歯の本数は28本から32本となります。
鮫がこれだけ多くの歯を持つ理由は、最前列の歯の後ろに何列もの新しい歯が並んでいるからです。
そのため、一番前の歯が抜けるとすぐに新しい歯が出てくるようになっています。
ちなみに、人間も乳幼児の頃には、歯ぐきの中に永久歯が隠れています。
人間の場合、隠れている新しい歯は一列だけですから、一生涯で歯が生え替わるのは一回だけです。
この永久歯を何十年も使い続けるわけですから、歯のお手入れはしっかりとする必要があります。

象の牙の役割
象は非常に立派な牙を持っています。
動物の牙は通常、鋭くとがった犬歯ですが、象の牙は特別で、人間でいうと真ん中から数えて2番目の前歯、つまり第2切歯が発達したものなのです。
象牙は象の生活において多くの役割を果たしています。
象は牙を使って樹皮を剥いだり、木を倒したり、根を掘り出して食物を得ます。
また、牙は防衛や縄張り争いの際の武器としても機能します。
しかし、象牙を求める密猟が象の存続に脅威を与えています。
一部のアフリカ象のメスでは、牙のない個体が増えているとの研究があります。
はっきりした理由はわかりませんが、この現象は密猟から逃れるための進化だとする説もあります。
一方、人間の犬歯は「糸切り歯」とも呼ばれ、糸を切る道具としても使われたことがあります。
しかし、主な目的は食物を咬み切る機能に特化しており、象の牙のような多様な用途は持っていません。
余談ですが、象の歯の数は4本で、一生のうちに6回生え替わるそうです。
象の平均寿命は60〜80年と長く、固い木を食べるために歯がすり減るのも早いのです。

動物たちの歯科衛生士
カバが大きく口を開けている時、特定の鳥が口の中の清掃をしている光景を見たことはありませんか?
この鳥はウシツツキと呼ばれ、大型哺乳類の口の中の食べ残しや寄生虫などを食べてくれます。
カバだけでなく、サイやキリンなど他の大型哺乳類もウシツツキのお客さんです。
これにより鳥は食べ物を得、カバやサイなどは口腔ケアを受けることができます。
このような関係を共生関係と言い、自然界における特別なデンタルケアの一例です。

動物と虫歯
では、動物は虫歯になるのでしょうか?
野生の動物は固い食べ物を主に食べるため、歯に食べかすや歯垢が付きにくく、ほとんど虫歯になることはありません。
しかし、人間の近くで暮らす犬や猫、動物園の動物たちは、柔らかい加工食品や甘い食品を食べることが多く、寿命が長くなることから、虫歯になることもあります。
ペットと暮らしている方は、彼らの歯の健康にも注意を払ってあげてください。