歯科衛生士について、皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
漠然と「ああ、歯科医の助手をしている人ですね」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
ご存じのように、歯科治療を行う際にはたいていサポートが付きます。
この歯科医をサポートする職種には「歯科助手」と「歯科衛生士」がありますが、この二つは似ているようで、治療時に行える内容がかなり異なっています。
今回のブログでは、歯科治療において歯科衛生士がどのような役割を担っているかをご説明したいと思います。
歯科衛生士は国家資格
歯科衛生士になるためには、専門の学校で3年から4年学んだあと、国家資格に合格する必要があります。
学校を卒業するまでには93単位(2570時間)以上学び、そのうち臨床実習を20単位(900時間)取得します。
それだけの多くの専門知識・技能を学び、国家資格を取得した歯科衛生士は、医療従事者として認定されたプロフェッショナルです。
そのため歯科衛生士は、患者さんのお口のなかに直接触れる医療行為を行うことができます。
この「医療行為ができる」ことが、歯科助手と歯科衛生士が異なっている点です。
歯科衛生士の三つの役割
歯科衛生士が担う役割は、大きく分けて「歯科予防処置」「歯科診療補助」「歯科保険指導」の三つです。
それぞれ、どのようなものかご説明します。
歯科予防処置
歯科衛生士は、むし歯や歯周病を予防するスペシャリストです。
むし歯や歯周病の予防には、歯垢(プラーク)の除去が欠かせません。
そのために、まずは正しいブラッシングなど普段のセルフケアが大切ですが、磨き残してしまった歯垢が歯石やバイオフォルムになってしまうと、普通の歯みがきで落とすことはできません。
このような、自分では落ちなくなってしまった歯の表面についた汚れを、専門の器械を使って除去するのは歯科衛生士の守備範囲です。
また、きれいにしたクリーニングした歯の表面に、フッ素などの薬品を塗布してむし歯になりにくくする処置も行います。
以前、こちらの記事でご紹介したPMTCも、歯科衛生士が行える治療のひとつです。
歯科診療補助
歯科治療はチームプレイです。
治療器具の準備をしたり、治療中は歯の型取りやレントゲンの補助、お口のなかのバキュームなど、さまざまな仕事があります。
歯科技工士は、型取りした歯形を受け取り、かぶせ物や入れ歯として精密に加工します。
歯科助手は、受付や予約業務などの歯科の事務全般を行うほか、治療で使う器具や材料の準備を任されることもあります。
それらのさまざまな仕事の中で、歯科衛生士は、歯科医師と協力して患者さんのお口のなかに直接触れる治療を担当します。
質の高い歯科治療を行う上では、どの役割も欠かせない存在ですが、直接治療に当たるという点では、歯科医師とならび患者さんに最も近いところにいる医療スタッフといえます。
歯科保健指導
歯科衛生士は、予防のスペシャリストとしての知識を活かして、正しいブラッシング方法などのセルフケアの指導を行います。
歯科衛生士の勤務先としては一般歯科医院が最も多くなっていますが、その他にも病院や市町村・学校などで、むし歯予防や保健指導に携わっている歯科衛生士の方も大勢いらっしゃいます。
社会全体の高齢化によって、寝たきりのお年寄りを訪問して口腔ケアやブラッシング指導を行う歯科衛生士も増えてきています。
歯科衛生士は女性の職業?
歯科衛生士というと「女性」のイメージが強いと思います。
実際、歯科衛生士に関する法律が制定された1948年には、法律の条文内で歯科衛生士は「女子」と表記されていました(男性が歯科衛生士になれなかったわけではありません)。
その後、2002年には男女共同参画の観点からさまざまな職業の見直しが図られました。
「看護婦(女性)・看護士(男性)」だった呼称が「看護師」に改正されたのもこの頃です。
そうした社会全体の流れをうけ、歯科衛生士に関する条文も見なおされ、男性の歯科衛生士も徐々に増えてきています。
しかし、全体の割合でみると、男性の歯科衛生士はまだまだ少ないと言えるでしょう。
お気軽にご相談ください
当院では、歯科医師・歯科衛生士・歯科助手といったスタッフ間の連携をよくすることで、質の高い治療を提供できるよう努めております。
むし歯の治療だけでなく、治療後の検診や定期的なクリーニングなどについても、予防のスペシャリストがいる歯科医院へお気軽にご相談ください。